巷に速読勉強法とか、速読術とか、速読の本とか、色々あるんですが、全部クソかインチキです。
結論: よくよく思い出してほしいんですが、学者とか、ビジネスで成功した人で、速読やってます、っていう人いますか?っていう話。作家にしてもそうで、本を5分で一冊読みます、なんていう人、いなくないですかね。
速読が語られるとき、必ず速読講師の存在ありです。では、その速読講師に聞きたいのですが、なぜ、そんなに素早く本が読めるのなら、速読講師なんていう微妙な仕事をやっているのか。
学者になって研究めっちゃやるとか、会社を立ち上げてうなるほどの利益を上げるとか、蓄積した読書量を生かして作家になるとか、もっと楽しい仕事いっぱいあると思うんですけどね。
そこに全ての答えがあります。すなわち、速読なんて存在しねえよ、ということです。アメリカ開拓時代、ゴールドラッシュで富を築いたのは、ツルハシを売る人、というのは有名な話です。これに由来して、ツルハシビジネス、という言葉が生まれたわけですが、速読というのも、このツルハシビジネスによって成り立っているんですね。
ツルハシビジネスには他にも例があって、仮想通貨バブルのときは、取引所のアフィリエイトとかもそうですね。ツルハシビジネスを抽象化すると、「夢を売るビジネス」と考えることができます。
別にこれが全て悪いってわけではないんですが、比較的、ちょっとアレだよな、というタイプの商法が多いです。
まあ、あまり書くとグチみたいになってダサいのでこれぐらいにしておきますが、結論としては、1ページ1秒で読む、みたいなタイプの速読は存在しないということです。仮に1ページ1秒で読んだとしても、わずかな数単語をすくい取って内容を推測する、みたいなやり方になるでしょう。
僕は今、早稲田の理系学部に所属しているんですが、友達を見ても、速読で大学受験に合格した、なんて人は1人もいません。灘高校→東大にいった友達に話を聞いても、速読をやっている人なんていないそうです。速読がまだ世の中に広く知れ渡っているわけではなくて、単に再現性がないってだけの話。
とはいえ、です。1ページ1秒で読む、というようなタイプの速読は存在しないにしても、読書量を増やしていくことで、読書スピードを上げることは可能です。
後は、読書の目的に応じて、読むときの「濃淡」を調節することで、スピードを変えることができます。僕は、漫画を1冊10 ~ 15分ぐらいで読むんですが、割と早いほうだと思うんですね。
だからといって、僕が1ページ1ページ、全ての文字を読んでいるかというとそうではなくて、絵と基本的なキャラクターのセリフをパッと見ることで、ざっくりとストーリーを理解しているんです。
僕は文庫本を30分ぐらい読むことがありますが、全部読んでいるわけではなくて、目を通しながら、これは知っているな、別に重要じゃないな、という箇所を読み飛ばしているだけです。
ユヴァル・ノア・ハラリの「サピエンス全史」とか、リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」とか、経済学の本とか、コンピューターサイエンスの本を読んだ時は、全てのページにちゃんと目を通してじっくり読んだので、5時間 ~ 10時間ぐらいかかりました。
これが、速読の真実です。
僕も中学生の頃に、速読の本買って、速読術をマスターしようと思ったのですが、行の末尾から次の行の先頭に目を素早く移す訓練とか、まばたきの回数を減らす訓練とか、あんまり本質じゃないよなぁ、みたいなことばっかりで、あまり手応えが感じられませんでした。
枝葉末節のテクニックだけで、本当に速読ができるようになった、とは言えなかったです。
最後に要点をまとめておくとこうなります。
これが速読のシンプルな真理。